「2023高校選抜ラグビー優勝の桐蔭学園に見る
『期日』への意識」について

「11月20日」
2023年3月31日(金)、熊谷ラグビー場で行われた春の高校選抜大会決勝は34対19で桐蔭学園が東福岡を下して優勝旗を勝ち取り、幕を閉じた。
試合後に桐蔭学園の藤原監督はインタビューに対し、「去年の11月20日に神奈川県決勝で負けてから、12月3日に新チームをスタートさせて基本を徹底してきた」という趣旨の話をしていた。
そして、その後のキャプテン城選手のインタビューの中でも「11月20日、花園予選に負けてしまって悔しい思いをしてきた・・・」という話が出た。
監督とキャプテンがはからずも口にした「11月20日」、それは花園への連続出場が7回で途切れた日。そこから桐蔭学園は「期日」を意識して積み上げてきたことが監督とキャプテンの言葉から読み取れる。
今回の桐蔭学園のメンバーは去年からの選手が多く、しかも全国大会に出場しなかったため、新チームの始動が早く、藤原監督曰く「1ヶ月分の差」がアドバンテージとしてあったことは否めない。
しかし、目標達成に向けた積み上げを「日」レベルで意識することがチーム全体に浸透している様子が監督とキャプテンのインタビューで垣間見えた。桐蔭学園は新チームとして始動してから、約120日で全国の強豪校と対戦する選抜大会を勝ち抜くチームを計画的に着々と作り上げてきたのである。
以上の例にもあるように、目標達成を目指すうえで、「期日」は大事である。「期日」すなわち「本番」で思い描く姿に、どのように鍛えて持っていくか、これはチーム全体だけでなく、個人レベルでも大事な考え方である。
期日のとらえ方
「期日」について考えるとき、大事なのはとらえ方である。
得てして人は「期日」を追い込む使い方で用いる。しかし期日が迫ってきてから追い込んでやるというのは「このままでは、期日に遅れてしまう」という不安を用いた方法である。
恥ずかしながら、自分は子供の頃は完全に「追い込み派」であった。夏休みが終わり、学校の授業が始まるまでにできれば良い、と考えていた子供であった。
しかし、今になって思う。「追い込み型」で良いことはないと。
期日に追われて集中力を出すという考え方もあるが、「追い込まれないとやる気が起きない」のが、ベストな選択なのだろうか。
「良い出来映え」を求めるならば落ち着いた中で力を注ぐ部分を冷静に分析し、試行錯誤をするという過程が大事である。そして、その過程を充実させるためには、一定の「時間」が必要とされるのも事実なのである。
時間管理では第2領域に注力せよ
そして、時間軸において、力をそそぐべきことの指針となるのが、スティーブン・R・コヴィー博士が自らの著書「7つの習慣」で提唱した以下の「時間管理のマトリクス」である。

ここでは、日々の私たちの活動を「緊急性」「重要度」の切り口でX軸、Y軸により4つの領域に分ける。そして、人が一番成長するのは、「重要ではなく緊急ではない」第2領域の活動に力を入れるときである。第1領域の「重要でありかつ緊急である」ものの優先度は高い。しかし第一領域は成長の領域ではなく、緊急かつ重大な事象に対処しなくてはならない、要は早くこなす領域である。
このマトリクスに当てはめると、チーム作りのポイントは「緊急でない=試合まで時間がある」ときに、チームにとって「重要なこと」を実施することである。そして、その時意識するのはまさに「期日」である。期日が近づいて来ると「第2領域」が「第1領域」に変化してしまい、落ち着いて戦略的なチーム作りをするのが困難になってくる。
桐蔭学園にとっては、当面の目指すターゲットは花園出場であり、藤原監督の言葉を借りると、まずは今年の神奈川県決勝「11月19日を突破」であると言っていた。「11月19日」に向けて、桐蔭学園がどのような過程を経てチーム作りをするのかが楽しみである。
一方敗れはしたものの前半怒涛の攻撃をみせ、後半スクラムで優位に立った東福岡高校。前回花園優勝メンバーが卒業し、総入れ替えで今大会に臨んできた。
今後、藤田監督率いる東福岡高校がどのように、花園の「期日」に向けてチームを成長させていくのか、こちらも大変興味深いところである。今から冬の花園が楽しみである。
選手との個別コーチングセッションにおいて、目標の実現を目指す「期日」を必ず聞く。「期日」を決めることで、目標に向かう具体的な道筋に思いを向けるようになる。
スポーツメンタルコーチとして、選手にとって「期日」を味方につけて、望んだ成長ができるサポートをしていきたいと日々思うところである。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
スポーツメンタルコーチ 杉村康之
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