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思い出の試合(1984.11.11)

京都の自宅の本を整理していて、懐かしい本に出会いました。

 

「慶應ラグビーの奇跡」という1980年代に慶應義塾大学蹴球部(ラグビー部)の黄金期を築いた上田昭夫監督と堀越慈強化委員長の共著の本です。

 

その本に自分が実際に観戦した記憶に残る試合のことが書かれていたので、思い出とともに振返ってみたいと思います。

 

慶應ラグビーの奇跡

 

その試合は自分がラグビーを競技場で見始めて、10試合目にもなっていなかった試合だと思います。

高校一年生の頃でした。

 

昭和59年11月11日(日)に秩父宮ラグビー場で行われた慶應義塾大学対明治大学の試合は、今までラグビーを見てきた中でもとりわけ印象に残っている試合です。

 

いつものように、都バスでラグビー場に向かいました。学生券が500円であったので、試合を観て1,000円で帰って来られるのどかな時代でした。選手名も墨書きのボードでした。

 

その日は観客も多く、バックスタンドの伊藤忠側の22mラインよりもゴールライン寄りのスタンドで観戦していました。

 

前半から慶應と明治の凄まじいぶつかり合いがあり、前半を慶應4対7明治(当時はトライ4点)で折り返しました。

 

当時の慶應で印象に残っているのは、大きく重い明治の選手にも怯まず地獄と言われる山中湖合宿で鍛えた低く、ひたむきに当たるタックルでした。見ている自分は、その勇気とひたむきさに自然と慶應を応援していました。

 

そして、後半も慶應が大きな明治フィフティーンに対して果敢に意地を見せるものの、双方譲らずロスタイム(当時はインジャリータイムと言いました)に入りました。

 

その後の展開は今でもスローモーションのように覚えています。

 

緊迫したまさにその時、明治の反則により、慶應はペナルティキックを得ます。キックで同点にする千載一遇のチャンスです。正直、観ていて「慶應負けなくて良かった」とホッとしました。

 

しかし、慶應がプレースキックに入るのかと思いきや、その時レフリーが明大ボールのスクラムを命じたのです。

 

後日、これは慶應松永主将がレフリーにゴールを狙う意思表示をしたのにも関わらず、SHの生田選手が小さく蹴ってトライを狙いにいって、ペナルティとなってしまったことが分かりました。

 

当時は場内放送もないため、慶應の何らかの反則があったことだけが分かり、万事休すだと思いました。

会場内の雰囲気も終わったという感じでした。これで、明治ボールのスクラムでボールが出て、タッチラインに蹴り出してノーサイド、と思っていました。

 

しかし、慶應の選手はあきらめていませんでした。

 

なんと、慶應は明治ボールのスクラムからボールを奪い取り、マイボールにしてしまったのです。

 

そして、慶應はボールをしっかりとつなぎ、大歓声の中、ラストは渡瀬選手から良塚選手にボールが渡りトライを取って逆転したのです。

 

この時、自分はひとりで観戦していたのですが、トライの瞬間おもわずガッツポーズを取っていたような記憶があります笑

 

この時のからし色と黒の段柄ジャージを身に纏った慶應の選手は本当に輝いて見えました。

 

ラストワンプレーまで集中を切らさず、できうる可能性を信じ、仲間から仲間へと集中してボールを繋いで取った慶應のトライを観て、ラグビーの素晴らしさに自分の心が射抜かれた思いをしました。恐らくこのトライが今に至るまで、ラグビーに惹きつけられることとなった原点のトライだと思います。

 

まだ、茶色の革製のボールの時代でした。慶應の選手もブレザーではなく、まだ詰襟を着ていました。

あの頃から、時代は経ち、日本でワールドカップも開催し、状況は変わりましたが、ラグビー選手を貫く気持ちの根底は変わっていないと思います。そんな、ラグビーと出会った選手達のより幸せな競技生活のため、日夜サポート活動と研鑽を重ねています。

 

スポーツメンタルコーチ 杉村康之

(すぎやすぅ)

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