年始のスポーツも盛り上がりを見せています。
選手達が真剣な時間を過ごして目指してきた本番の舞台。
この日のための積み上げを全部出しきって欲しいという一心で選手を見つめます。
しかし本番は本番です。
うまくいかないことも出てきます。
そんな時、ふと選手の心に
「焦り」
が顔をのぞかせることがあります。
慌てている時、気持ちは「なんとかしなければ」と焦ります。
しかし、なかなか自己を調整できずにいるうちに、
・ミスをする
・修正ができない
・追い込まれた気持ちになる
など、試合展開にとってマイナスな要因となります。
では、焦らないで冷静に対処するためにはどのようにしたら良いのでしょうか
そしてそもそも「焦らない」ための対策ってないのでしょうか。
今回はこの「焦り」についての自分の見解を述べていきます。
焦っている時にまずすること
そもそも
「焦る」という状態では脳がピンチの判断をしています。
ピンチの判断とは
・想定外の出来事が起きている
・このまま負けてしまう気がする
・普段のできていることができない
などの認知をしている状態です。
こんな時、することは何でしょうか。
まず自分の心の中にこう話しかけてください。
「今、焦っている」
これはラベリングという方法で心の状態を客観視する方法です。
まずは「焦っている」自分に気づくことです。
自分自身と焦っている心との間にすき間を作るイメージです。
ラベリングにより考える小さな余地を頭の中に作ります。
ここまでがまず準備段階です。
ここから対処の段階です。
キーワードは「分解」です。
まず、状況を分解して捉えます。
例えば状況をただ「負けている」ではなく、どの点がどのように不利な状況で「負けている」かを分解して捉えます。
次に修正点と戦術について、何を意識して具体的な力を注いでいくかを分解して考えて実行します。
分解はより具体的に行います。
例として、私がコーチングした卓球選手の場合、調子の良くない時のフィジカル面の特徴は「フォーム」が崩れることでした。そこで「フォームのどこが崩れるか?」という分解した質問をしたところ「ひじの使い方」ということでした。この小さな気づきによってこの選手は調子が悪い時でも、「ひじの使い方」を客観的に修正することができるようになり、ビハインドからも巻き返せるようになりました。このように分解して出てくる気づきがプレーに影響するのです。
また、劣勢もしくは負けている状態で終了時刻が近づいてくるのも焦りの原因となります。
こんな時も分解です。残り時間、相手や周囲の状況を踏まえて、何に具体的に力を入れるかを分解して考えます。あたまの引出しの中にある選択肢から、最善なものを選び実行します。
個人競技でも団体競技でも対処を分解してより具体化することにより、頭が整理されて、力の入れ所がよりシンプルになります。
また、修正点や戦術の分解、すなわち細分化することにより、自分の注力する範囲が狭まるため、こころの余地ができやすくなります。
頭の中が混乱した状態が焦りとなります。頭を整理するために「分解」を意識することで、焦りからの脱却につながります。
そして、普段の練習からありうるパターンを想定しておくこと。
それは相手、状況、時間帯など様々な要素に対する準備をしておくことで、焦りの要因を減らすことができます。
また「焦る」こともある、という心の準備をしておくことも「焦り」の影響を少なくする有効な考え方です。
日常の選手とのコーチングセッションにおいても「焦り」をテーマとして、コーチとして対話による「焦り」の整理を行うことも多々あります。
「焦り」と適切に向かい合うことを大切にしてください。
それが「焦り」から脱出する道につながっています。