先日、開幕した令和6年度高校ラグビー全国大会を近鉄花園ラグビー場で観てきました。
久々に花園に戻って来た京都工学院の伝統の赤黒ジャージ・・・良いものですね。
冬の花園で感じる空気感。
これまで鍛え上げてきたチームの雰囲気が一層引き締まって見えました。
グラウンドから本番の緊張感が、底冷えする寒さと共にヒシヒシと伝わってきました。
試合中に抱きがちな思い
本番と言えば、ここ最近10代の中高生のスポーツ選手対象に、立て続けにセミナーや個別コーチングを行う機会がありました。
その際によく聴いた事例が「試合中にミスをきっかけに崩れて調子を取り返せなかった」ということでした。
この時の心情として「諦めてしまった」「普段と違う感覚となった」「気持ちを立て直そうとしたができなかった」などの声を聞きました。
外からは流れを持って行かれたように見えたりします。
立て直したいのだけど、
「思うようにいかない」
こんな時どのようにするべきでしょうか。
「思考としてできること」を考えてみます。
①今、ここ、自分に集中する
まず、不利な状況になると、「このまま負けてしまうのでは」などと悪い想像をしがちです。更に過去の負けた試合を思い出して、より焦ったりします。
でも、対処すべきは未来でも過去でもなく、今現在の目前の試合です。
今集中することは、今できる最善を尽くすことです。
「今、ここ、自分」に集中する意識を持ちましょう。
②戦術・スキルに集中する
まずミスした時は、どこかに原因があります。
どこかに、修正点はあるはずです。そこに集中して意識を向けて修正するのみです。
そしてその時に最善と思われる戦術の選択をとるようにしましょう。
③この先の良い結果を想像する
その時の状況から状況が良くなって結果が望むものになるストーリーを思い描く。
逆転のストーリーを思い描くことです。
④相手も緊張状態であることを思い出す(相手がある競技の場合)
相手は流れがいっていたとしても、ベースは緊張状態です。ここでは冷静さが相手には圧となります。冷静な態度で相手に向かい、効果ある行動をすれば、反撃の糸口はつかめます。
以上、思考として、どのポイントに集中するかをあげてきました。
思考の習慣化を目指す
そして、そのように試合中に考えられるためには、常日頃からの思考準備が大事です。
まず、大前提として大切なのは
自己受容
です。
人はミスした自分を「ダメな自分」と否定しがちです。
自己否定は気持ちを落ち込ませ不安感を増します。
自己受容さえしていれば、積極的に修正を考えられるようになります。
常日頃から「ミスと自己価値を結びつけない」考え方に慣れることが大事です。
そして、前に書いた①から④を練習で繰返し意識していきます。
まさに自己受容して出来るようになるまで繰返していきます。
そして思考習慣は練習のみでなく日常こそ大事です。
例として、「駅で乗ろうとした電車が目の前で行ってしまい乗れなかった場合」どのようが思考が良いかをうえの①から③に沿って考えてみます。
・乗れなかった後悔は必要ない。今は乗れなかった事実があるのみ。
・今最善の策を考える。別の経路で目的地に行くか、次の電車を待つかを考えて実行する。
・最善の策を取って目的地に行ったら、その場所で自分のミスで遅刻のことを素直に言おう、それが今取れる最善の策である。そうすれば何とか打開策は出てくるものである。
という考え方はどうでしょうか。そこには「自分がダメ」というような感情はありません。この場合、もし集合した仲間に迷惑をかけることがあったなら、きちんと迷惑かけたことを詫びて次回の集合では注意を払っていくことが大切であり、自己否定は必要ありません。
もし遅れた時に自己否定の感情を持ってしまったら、「行くのが嫌になる」「バックアップの方法を考えるのが遅れる」などマイナスの効果が出てしまいます。
自己受容は自分を甘やかすことではなく、自分をありのままに受け入れて、更に高みを目指して努力することです。
自己受容すなわち「自分は自分で良いのだ」という気持ちを日頃からしっかりと持ちましょう。
このように、日常で本番の試合に役立つ思考のベースを習慣化するように心がけてみてください。
思考習慣を整えることが、より試合をコントロールして上手く進めるコツです。
選手と個別コーチングを重ねると、この思考習慣が日に日に変わっていき、考え方が整ってくると、結果が出てくるようになります。この思考習慣を整えることこそがメンタルコーチとして選手と向かい合う主目的です。
これを読んだ選手の皆様は常日頃からの思考習慣を整えて、思い切って試合で実力発揮するようにしてください。