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桐蔭学園による負けないチームの作り方

~2023年度選手権、東福岡との決勝戦で見えたこと~

今年1月7日に行われた高校ラグビー全国大会決勝では桐蔭学園と東福岡が競り合ったとてもハイレベルの戦いをみせました。この戦いを制して日本一となった桐蔭学園の決勝戦の戦いから、桐蔭学園がメンタル面で優れている特長について考察してみたいと思います。

桐蔭優勝集合

 

2023年度全国高等学校選手権では決勝で神奈川代表の桐蔭学園高校が東福岡高校を8対5で破り、日本一の座を獲得しました。

 

この試合を快晴の東大阪市花園ラグビー場のスタンドから観戦しました。

試合後の爽やかな桐蔭学園フィフティーンの安堵した笑顔が印象的でした。

 

試合内容は8対5のスコアが示す通り、どちらに流れが傾いてもおかしくない、実力伯仲の高校ラグビー界最高のスキルとフィジカルが鎬を削った対戦でした。

 

更にスキルとフィジカル面以外に桐蔭学園にはメンタル面の優位性を感じました。

桐蔭学園のメンタルの優位性は「相手を凌駕する」というよりは「負けないチーム」というフレーズがぴったりとくるものでした。

「負けない」という言葉にはニュアンスとして再現性の高さを含みます。

つまり「メンタル的に崩れにくい」チームづくりだったと言えます。

ここでは、この桐蔭学園の勝因をメンタル的な観点から以下の3点に特徴をまとめてみました。

 

①感情負荷に対する準備

②局面を変えるタックルスキル

③高い規律性

 

以上について、それぞれを順に述べていきます。

桐蔭円陣

 

①感情負荷に対する準備

試合には「流れ」の要素があり、メンタルスポーツと言われるラグビーではこの「流れ」と言われる集団的無意識の状態がチームの動きに大きく効いてきます。

 

特に実力が拮抗した試合こそ、この「流れ」をうまく利用したチームが優位な展開になります。

試合中この流れが東福岡に傾くと思われた重要な局面が大きく数回ありました。

 

中でも注目したのは24分に桐蔭学園11番田中選手が相手のミスをつき、一気にトライを取った後の東福岡キックオフからの展開です。

反撃を試みる東福岡はゴール前5m付近からのラインアウトから桐蔭学園のゴールラインに迫ります。

時刻は30分を回っていて、東福岡としてはここで追いついて流れを掴みたいところですが、桐蔭学園は落ち着いたディフェンスでしのぎ、流れを渡しませんでした。

 

これは東福岡にとって後半を迎えるにあたり、トライを取りきるかどうかは流れを掴むうえで大きなポイントであったと思います。

このような相手の勢いがあり、差し込まれがちな場面を集中して抑える強さが桐蔭学園の強さの一翼を担っていたのではないかと思います。

 

そして後半31分にゴール前に逆転を目指して波状攻撃する東福岡からHO田中選手がジャッカルでノットリリースザボールの反則を奪い、勝利をぐっと手繰り寄せた場面も桐蔭学園を象徴するシーンでした。

 

桐蔭学園は後半の少ない点差の中で、東福岡の反撃にも差し込まれずに比較的冷静に対処していたように見えました。日頃から花園の決勝という感情負荷の高い大舞台においても基礎的スキルをきちんと遂行し、流れを渡さない備えができているような感じを受けました。

目指すところが日本一であり、それに相応しい日本一の感情負荷にも動じないチームを目指して注力してきたのだと思います。

桐蔭ライン攻撃

 

②局面を変えるタックルスキル

①で述べた流れを相手に渡さないうえで、タックルが決まることは、チームに勇気を与え、流れを引き寄せる重要な要素です。

 

この試合でも後半15分に東福岡にトライを取られ、8対5と詰められた後の東福岡ボールのキックオフ直後の桐蔭学園LO中森選手が東福岡のHO田中選手にしたタックルは、東福岡が「これから」という流れを断ち切る重要なプレーでした。

 

また、27分に桐蔭学園WTB田中選手が東福岡の選手に決めたタックルは田中選手のノックオンとなりましたが、終了間際雪崩のように追い込んでくる東福岡の勢いを削ぐ渾身の一撃でした。

 

このように、桐蔭学園は大会期間を通じていざという局面で一発のタックルを決めるだけの準備と練習がきっちりとなされているという印象を得ました。特に拮抗する試合では相手の気勢を削ぐタックルはチームの大切な武器となります。

 

桐蔭スコアボード

 

③高い規律性

通常、規律性というとペナルティを犯さないという観点で使われます。この試合を通じてペナルティは桐蔭学園8の東福岡7と比較的規律性が高い試合であったと言えます。

 

特に桐蔭学園はゴールラインを背にして守る際に、ペナルティを犯さずに守り切る強さがありました。この点は勝敗に繋がるチームの地力として大事なポイントです。

 

更に「決め事」「意思統一」という意味での規律性においても、秀でていたように思います。試合開始から蹴らずにパスを回していく戦法でいくことの意思統一や、ディフェンスで穴を作らない連携など日頃練習やミーティングで培った規律性が試合で発揮されていたように思います。本番の高い圧の中における決め事の遂行力に対する鍛え方が素晴らしかったです。

 

今回は桐蔭学園側からメンタル面で優れた点を挙げましたが、対する東福岡も素晴らしいチームで学ぶべき点も多く、どちらのチームにも勝機があるロースコアの締まった素晴らしい試合でした。

 

改めて桐蔭学園が「負けないチーム」を考え抜いてきたことでギリギリの試合において優勝を手元に引き寄せたという思いを強くしました。

 

チームは人の集団です。それだけに、コミュニケーションの質やメンバーの関係性などを含めたメンタル面が成果に直に影響します。この点において「いざ」という時を想定した準備ができていた桐蔭学園の戦いを見て、改めて負けないチームとして注力すべき点についての学びとなりました。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

ラグビーメンタルコーチ杉村康之

 

○ブログ「流れを変えたタックル~2023年度高校ラグビー神奈川県決勝桐蔭学園の戦いより~」はこちらから

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