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「反省」ではなく「修正」

~阪神近本光司選手と日本代表松田力也選手に見る「修正」~

 

上手く行かない時、どのようにしたら上手く行くか、についての話です。大事なのは出来なかった部分にフォーカスして淡々と出来るようにすることです。人は余計なことに気をとられ、この本来的な過程になかなか目が行きませんが、大事なことは本コラムで取り上げた「修正」です。この「修正」についてラグビー選手のあなたへのアドバイスとしてお伝えしていきます。

 

フィジー戦

 

現状の修正に集中する

珍しく野球ネタから入ります。

 

先日、阪神がセ・リーグ優勝した翌日のスポーツ紙に1番打者の近本光司選手の手記が掲載されていました。そこには「自分を肯定する言葉を使うようになったら調子が落ちている、スランプに入っているということです」という近本選手の言葉がありました。

 

おやと思い読み進めると、その趣旨は「打球は良い」「飛んだのが野手の正面であった」などの肯定的な言葉は自分を守ろうとしているだけで、いい結果には繋がらないとの考え方でした。

さらに近本選手の言葉を借りると「そこから抜け出すには『その時の俺頑張れ』でやることやるしかないのです」「やるべきことは練習や試合前に済ませて現状に目を向ける」ということでした。

 

近本選手って、徹底的な「リアリスト」ですね。

自分の「感情」よりも「修正点に集中」という姿勢が、まさに「プロ」の態度ですね。スポーツメンタルコーチの私にとって近本選手のコメントは客観的に自分自身に向かい合う姿勢にとても興味が湧きました。

近本選手のコメントに対して自分なりの解釈をすると、大事なことは理想と現状の動作の違いをとらえ、感情抜きで必要な「技術的修正」に集中する、ということでしょうか。この近本選手の考え方ってアスリートとしてクールであり、効率的です。

 

更に自分の気持ちを無理やり整えても、動作面で修正がなされなければ、結果が改善しないというのは、改めて考えると当然のことです。

 

そして修正にフォーカスすることは、通常上手く行かないときは「自分ってダメだな」と自分へのダメ出しであったり、今後も「うまくいかないのでは」などの不安が浮かびがちですが、ただひたすら現状に向かい、修正することに脳の領域を割くため、いらぬ心配をする余地が減る効果があります。そして、結果として修正されると、こころは落ち着きます。なので、まずは「修正」の気持ちを持つことが大事です。

 

「反省」ではなく「修正」

そして「修正」ってあくまでも「反省」とは違うところがポイントです。反省にはどこか「ダメだった自分」というニュアンスが含まれます。言い換えると延長線上で「自分に対する無価値観」に繋がります。あくまでもテクニカルに「修正」にフォーカスする姿勢こそが、成功に向けた最短の歩みではないでしょうか。

 

自分も以前、スポーツメンタルコーチの師匠に勉強会で、ある事について「反省しました」と伝えたところ、「杉村さん、反省はいらないです。修正でいきましょう」と言われ、ハッとしました。振返ると今までいかに自分に対してダメ出しをして「反省」をするクセがついていたかに気づきました。

松田力也選手の修正力

そして、この「修正」をしっかりと行って結果を出した良い例が、ラグビー日本代表SOの松田力也選手です。

今これを書いているのは2023年ラグビーワールドカップ(以下2023RWC)で日本代表がチリを破り、その後イングランドに敗戦し、これからまさに心機一転サモア戦を迎えようとしているところです。

 

松田選手は今回の2023RWC直前、JAPANが前哨戦として最後に戦ったイタリア戦の後半から交代で出場しました。この際には2回のトライ後のコンバージョンキックをどちらも外しています。

イタリア戦の試合後に松田選手は「(キックについては)自分らしく蹴れていなかったと思います。~(中略)~自分のルーティーンでしっかり蹴れるようにもう一度見直したいと思います」と語っています。新聞記事でもワールドカップ本戦における松田選手のキックを危惧するものもありました。

 

しかし、ワールドカップが始まってみると、チリ戦、イングランド戦でフル出場した松田選手はチリ戦で6本、イングランド戦で4本の計10本のゴールキックを連続して成功させました。

 

チリ戦後のインタビューで松田選手は「自分のキックを蹴れば入ると思った。どんな状態でも自分のキックを蹴ることにフォーカスした。入れにいくのではなく、自分のキックを蹴る」と答えています。

 

インタビューの中で3回も出てくる「自分のキック」これは決して何も修正していないということではありません。現に松田選手はワールドカップのイングランド戦からキック前のルーティーンを変えています。今までの左手の開きを意識したいわゆる「抜刀ルーティーン」と言われるものから、右肩を意識した両手を出すルーティーンに変えています。またあるアシスタントコーチは「彼はほぼ毎日キックの練習をしています」と言っています。上手く行かない時は、日々修正の機会を持っているのでしょうね。そして周到に準備した自分の型を「自分のキック」と称しているのだと思われます。

 

こうして見ると、松田選手も反省というよりもテクニカルな「修正」にフォーカスしているのが分かります。そして、時にはルーティーンを変えるような大胆な「修正」を行っています。そのような修正に取組めるということが、自分を信じることができるが故に自信を持って「修正」に取組み、その修正したプレーを思い切って試合でできるということに繋がります。松田選手の素晴らしいところですね。

 

修正は粘り強く

修正において大事なポイントを改めて整理すると

・客観的に見て理想と現在の差分を見出す。

・自分に対して、ダメ出しをしない。

・できるまで継続して取組む

があげられます。

最後の「できるまで継続して取組む」で言いたいことは、一番目で述べた「理想への差分」が縮まっていくことを少しでも修正過程で感じて欲しいのです。人やプレーによって、修正に要する時間は異なりますが、客観的な目線を確保して修正を続けることで、確実に見えてくることはあります。見えてきたらその光を頼りに出口までたどり着いて欲しいのです。

 

スポーツメンタルコーチとしては、この修正過程に継続的な取組みをし、素晴らしい結果につなげるためのマインドのあり方をフォローしていきます。そして、ラグビー選手の皆様が修正力を身につけることにより、より目標により近づくことに繋がると思います。

本コラムを最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

 

スポーツメンタルコーチ 杉村康之

 

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