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パスの魅力

~そのパスに愛はあるか~

スポーツメンタルコーチ目線におけるパスの考察
W杯などのワールドクラスのラグビーやリーグワンなどで綺麗にパスが決まったとき、とても爽快な気分になりますよね。そんなラグビーにおけるパスの魅力についてスポーツメンタルコーチ目線で探ったコラムです。

パス写真

 

仲間を活かすパス

ラグビー観戦40年、タッチラグビー歴5年の競技初心者の自分の目から見たラグビーの魅力について述べてみたいと思います。今回は「パスの魅力」についてです。

 

これまで長年ラグビーの試合を見てきて、自分が一番気になるプレーを改めて考えてみると、それは

「パス」

でした。

自分は中学3年生のときに秩父宮ラグビー場で観た糸を引くようなパスの綺麗さに心を奪われ、ラグビーにハマりました。そして自分にとってパスの魅力がさらに深まったきっかけが「自分でパスをすること」でした。

 

京都に移り住んでから、伏見工OBの中華料理店店主の清水さんに誘われてタッチラグビーを始めました。そして、プレーを通じて今まで何百試合観ても分からなかったラグビーの原理原則をひとつずつ体感し、同時にラグビーの深い「楽しさ」を徐々に味わうようになりました。

 

その中でも「楽しさ」を最も色濃く感じたのは「仲間を活かすパス」を繋げることができたときでした。

 

タッチラグビーを始めたばかりのときは、周りが見えずに、相手を強引に抜くことの方に目が行き、今考えるとラグビーの原則を無視した個人プレーに走っていました。またとりあえずパスをしてもパスを受けた味方がすぐDFに捕まってしまう、言わばメリットが全くないパスしか出せませんでした。

 

そして、あまりの自分のプレーの不甲斐なさに、練習や動画を見て「パス」について自分の理解度を深める努力をしました。そして、少しずつ「DFを引きつけてパスする」感覚がつかめてきました。

 

そして、練習や試合で僅かながらも自分にDFを引きつけて、味方の前進を促すパスができるようになり、ラグビーの楽しさの上昇角度が一気に上がりました。

ラグビーは数のゲームであり、いかにパスを渡す相手のDFを少なくするかが大事です。つまり自分にマーカーを引きつけ、空いている味方にボールを渡し前進することの楽しさが分かった時、ラグビーの楽しさの本質に指が掛かった気がしました。

「人を活かす」

ラグビーをプレーしてみてこの楽しさは大きかったです。

「自分が」という感覚からこの感覚に到ったとき、楽しさの質が高まる気がします。

ラグビーの1チーム15名という多人数の中で、この「人を活かす」というコミュニケーションの大切さが競技の素晴しさの本質だと個人的には感じています。「人を活かす」つまり「人に貢献する」というのは人は予想以上に頑張れる要素となります。スポーツメンタルコーチとして「人への貢献」は常に選手に問い続ける項目です。また自分自身も日頃忘れないようにしています。

 

スペース感覚

昔からラグビーを見ていて上手なSOのパスに憧れました。1本で局面を変えるパス。サッカーではキラーパスと言うのでしょうか。周りが見えているSOが通すパスの威力に惚れ惚れとします。個人的にはリーグワン、クボタスポアーズSO岸岡選手のパスのワクワク感が好きです。

 

しかし、パスの効果って「投げ手側」だけが大事な訳ではなく「取り手側」がすごく大事ですよね。特に取り手側のポジションがパスの可能性を高めますし、前進への効果も左右します。

良い位置でスピードに乗った状態でパスを受取ればDFラインを突破する可能性も高まります。

 

まとめて言うと「スペース感覚」がパスの「投げ手側」と「取り手側」双方に大事です。そして、このスペースを見つけたり、スペースを作ったりの感覚を体感し、磨き楽しむことが、子供達がラグビーを好きになる鍵ではないでしょうか。

 

茗渓学園高校を率いて日本一となり、また2019年ラグビーワールドカップ日本招致に事務局として尽力された徳増浩司さんの著書「ラグビー最も受けたいコーチングの授業」の中でもまず正方形のグリッドの中でボールはまだ前に投げても良いので、鬼ごっこ形式の遊びをすることを提唱されています。

 

子供達がこのパスを使って空いているスペースを有効に攻める、ということが体感できれば、力とスピードだけではない「頭と連係」でどう攻めるか、という楽しさがある、ということを理解できます。ラグビーは体格や足の速さだけではない、ということが理解できれば、ラグビーに対する探究心がグッと高まると思います。

 

パスの効果

「良いパス」を入口として考えていけば、「フォーム」や「ハンズアップ」や「受けるときのコース取り」など、ラグビーの基礎スキルの必要性の価値が分かります。このように、「楽しさ」や「こうなりたい」という、パスを入口としたスキルへの動機づけが初心者やラグビーをする子たちがラグビーとの良い関係を築くうえで大事なのではないでしょうか。この動機づけを大切にし、末永く興味を持ってラグビーに取組む子供を増やしたいとひとりのスポーツメンタルコーチとして思う次第です。

 

今回は自分が感じた「パス」の魅力を通じてラグビーに興味を持ち続け、良い関係を築いていくことに関して自分の思いを綴りました。

 

自分が印象に残っているのはタッチラグビーでパスを教わっているとき、その方が部活の先生に言われた

「愛のあるパスをするように」

という言葉です。パスするボールには自分と相手とをつなぐ気持ちが伴うという考え方は、「ラグビーロマン派」の自分としては気に入っています。

 

また文中にも記したのですがパスの「人を活かす」側面、これこそがWorld Rugby の提唱する「ラグビー憲章」のなかの5つのコアバリューのうちの

「結束」(Solidality)

「尊重」(Respect)

に該当すると思います。

 

ラグビーを応援するスポーツメンタルコーチとしてはパスを入口にラグビーのこころに触れ、末永くラグビーを追求し、楽しんでいく選手が増えると良いと思っています。

 

「愛のあるパス」にラグビーのパスの特性が集約されているのではないでしょうか。

今回は日常的に練習や試合で繰返される何気ない「パス」について考えてみましたが、スポーツメンタルコーチである自分のコーチングの中では選手がラグビーを競技している中で、一旦立ち止まって「自分自身とラグビー」について改めて向かい合って新たな気づきを共に探すことをこころがけています。

 

最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。

 

スポーツメンタルコーチ 杉村康之(すぎやすぅ)

 

(参考文献)

「もっとも新しいラグビーの教科書」土井崇司著

・・・ラグビーというスポーツの本質について書かれた本。スペースの基本的な考え方などが目から鱗でした。

「ラグビーを探究 後藤翔太流 パスの神髄」後藤翔太著

・・・「パスのメカニズム」と「良いパス」について書かれた後藤さんの「パス」に対する分かりやすい洞察が書かれています。

ちなみに先日、名古屋の瑞穂ラグビー場で憧れの後藤翔太さんと写真を撮ってもらいました。ミーハーですが汗

後藤翔太さんと

 

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